厚生労働省から、
「令和5年労働災害発生状況」が公表されています。
これは、厚生労働省が、労働災害による死亡者数、死傷者数や、各業種における労働災害の状況等をまとめたレポートになっています。
この中で、まず注目される点は、「休業4日以上の死傷者数」が3年連続で増加していることです。
ご存知のとおり、日本の労働者数は減少傾向にありますが、その中でも休業4日以上の死傷者数が増えているということは驚くことです。
ひとたび労働災害が発生すれば、会社は労災保険の手続、死傷病報告書の作成といった事務作業が生じるだけでなく、休業することになった従業員の穴埋めをどうするかを考えなくてはならず、影響が小さくありません。
それだけでなく、従業員が会社に対して安全配慮義務違反を主張し、損害賠償請求をしてくることもあります(例えば、滑りやすい床と分かっていたのに会社は何も対策をしなかったと主張してくる等。)。
従業員の損害は、必ずしも労災保険給付だけで賄えるものではなく、裁判で従業員の主張が認められた場合は、会社にとって予想外の支出になりかねません。
次に注目される点は、事故の型別で最多となっているのが「転倒」であることです。
厚生労働省の公表でも触れられていますが、近時、従業員の高齢化(特に中高年齢の女性労働者の増加)が進んでおり、これが転倒事故増加の主要因のようです。転倒事故の件数も、増加傾向にあるとされています。
業務災害による会社へのダメージは少なくありませんので、身体の動作を伴う業務で、中高年齢の従業員が多い会社はいっそう対策を講じた方がよさそうです。
厚生労働省の公表では、転倒防止のためのチェックリストの活用やアプリ、動画等を活用した安全衛生教育が紹介されています。
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