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試用期間中の本採用拒否(解雇)について

2025/06/18

はじめに

多くの企業において、新入社の社員について、就業規則等において「試用期間」が設けられているものと思います。

毎年、特に4月~6月に相談が多いのは、「新入社員を雇ったが能力不足(又は素行不良)なので、試用期間で本採用を拒否したい」というご相談です。

本稿では、この試用期間の本採用拒否(解雇)について、ご説明していきたいと思います。
 

試用期間の法的性質

正社員(無期雇用)を試用期間付きで雇い入れた場合には、無期雇用が成立しているものの、試用期間中は、企業側に労働者の不適格性を理由とする「解約権が留保された労働契約」と解されています(解約権留保付きの労働契約)。

つまり、試用期間満了時(もしくは期間途中)の本採用の拒否も、「解雇」に当たりますので、企業側が自由に本採用拒否(解雇)できるわけではありませんので、この点に十分注意してください(十分な検討や準備がなく、本採用拒否をし、これを裁判所で争われると負ける可能性があります。)。

最高裁は、本採用拒否について「解約権留保の趣旨・目的に照らして、客観的に合理的な理由が存し、社会通念上相当として是認されうる場合」にのみ本採用拒否(解雇)が認められる。「企業が採用決定後における調査結果により、または試用中の勤務状態等により、当初知ることができず、また知ることが期待できないような事実を知るに至った場合において、そのような事実に照らしその者を引き続き当該企業に雇用しておくのが適当ではないと判断することが、解約権留保の趣旨・目的に徴して、客観的に相当であると認められる場合」にのみ許されるとしています。
 

試用期間の本採用拒否(解雇)をする場合

それでも、企業としては、試用期間をもって本採用拒否をせざるを得ないケースもあると思います。

実際の裁判例を見てみると、通常の解雇よりは、試用期間の本採用拒否(解雇)はやや緩やかに有効と認められてはいますが、それでも、本採用拒否(解雇)が裁判で争われた場合には、企業側は、相当の理由とその立証が求められます。

実際に、試用期間における、能力不足や素行不良で、本採用を拒否(解雇)することを検討するのであれば、後々、その新入社員に争われた場合に備えて、その能力不足や素行不良の具体的な事実について、客観的な証拠を十分に確保しておく必要があります。

また、試用期間中に労働者側に問題のある行動が見られたとしても、企業には合理的な範囲で、教育や矯正をすべき義務があるとされていますので、教育・指導を尽くしたことの証拠もしっかりと記録に残しておく必要があります。
 

試用期間の延長規定など

多くの企業では、試用期間を1~3か月程度にしているものと思いますが、弁護士の視点からしますと、就業規則上に、試用期間の延長ができる旨の規定を設けておくことをお勧めします。

本採用を拒否(解雇)を検討している間に、試用期間が経過してしまうことが多く、せっかく留保されている解雇権を行使できなくなってしまうことがあるためです。

また、試用期間とは別の方策としては、試用期間付きの無期雇用ではなく、まずは、半年などの有期雇用(期間の定めのある雇用契約)で雇ってみるというのも一つの方策です。
ただし、この場合でも、実質的にみて、その有期雇用期間が「試用期間」である場合には、裁判上において、その有期雇用期間が試用期間と認定されてしまうこともありますので、注意が必要です。

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